1998年、冬。 普通の学生であったオレの中に、不意にもうひとつの世界が生まれる。 それはしんしんと積もる雪のように、ゆっくりと日常を埋めてゆく。 そのときになって初めて、気づいたこと。 繰り返す日常の中にある変わりないもの。 いつでもそこにある見慣れた風景。 好きだったことさえ気づかなかった、大好きな人の温もり。 すべてが自分をこの世界に繋ぎ止めていてくれるものとして存在している。 その絆を、そして大切な人を、初めて求めようとした瞬間だった。 時は巡り、やがて季節は陽光に輝きだす。 そのときオレはどんな世界に立ち、そして誰がこの手を握ってくれているのだろうか。
本作は、1998年に発売し人気を博したPCパッケージゲーム『ONE 〜輝く季節へ〜』のリファイン作品です。 タイトルには、シリーズの集大成を表す『ピリオド』を付しています。
もしオレの人生で感謝しなくちゃいけない奴がいるとしたら、それは長森だろうな。 あのとき、あの幼い日々に長森と出会ってなかったらオレはどうなっていただろう。 あの日から一緒にいることが多いし、たまにはそのお節介が鬱陶しく思うときもある。 でも最後には感謝だ。 ずっといい友達でいてくれよな。 でも、あのときの言葉はどこに消えてしまったんだろうな。 オレを救ってくれたあの言葉は…。
転校生で、その初日の登校中に曲がり角でぶつかるという、 なんとも古典的な出会いを果たしたのがこいつだ。 見かけはこんなんだが性格が……いや、後が恐いからなにも言うまい。 本人は結構切実に悩んでいるようで、理想とする「乙女」を目指し 精進してるらしいんだが…。 まあ、その健気さを讃えて、コピーを送ろう。 『永遠に乙女心を追い求める少女、七瀬』 ちなみに永遠、なので、手に入ることはないのだ…(ボカッ!!)
夕焼けの赤に染まった放課後の屋上で、オレは知らない女の子に話しかけられた。 冷たい瞳と暖かな笑顔をたたえた女の子。 その子が3年生の先輩だと知ったのはその直後だった。 そして、同時にオレは冷たい瞳の意味を知る。 その瞳はオレの姿も、夕焼けの赤さえも映してはいなかった。 盲目の先輩を前に、どう話しかけていいのか戸惑うオレに、先輩は悲しそうに呟いた。 「普通でいいと思うよ…」
真っ黒な雲に覆われた大雨の日。 たまたま早く家を出たオレは、ピンクの傘の女の子に出会った。 それが茜だった。…まあ、実はクラスメートなんだけどな。 それまでは特に意識したことは無かったけど、 それ以来オレは茜によく話しかけるようになった。 他人を突き放しているようで、本当は自分の心に触れてくれる存在を待っている。 少なくともオレにはそう思えたからだ。 …でも…本気で避けられているような気がしなくもなかったりする…。
澪との出会いは学食だった。 あの時以来、気がつけばいつもすぐ横にいてニコニコとオレを見上げていたな。 まあ、元気な妹といった感じか? いったい何がそんなに楽しいのかオレには分からないけど。 でも、いつの間にかそれが当たり前のように思えてきたことも事実だったな。 どんなことでも一生懸命で、結局はそれが空回りして周りに迷惑かけてるんだけど…。 …本人はきっと気づいてないな…。
出会いはこいつが唯一の友達を失ったときだった。 といっても、フェレットだけどな。 入れ替わりにオレたちになつくようになったんだけど、事あるごとにすぐ癇癪を起こして フェレットの名前を泣き叫びだす困った奴だ。 でも初めて進んで人と接しようとしているその思いは大切にしてやりたい。 みゅーは死んだけど、そこから始まったのは、大人への旅だったんだよな。 な、椎名。
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